心・身 環境

娘はPTSD・心的外傷後ストレス障害で苦しみました

「娘達の借りていたマンションの隣へ新しく高層マンションが立つことになり、工事が進みました。 足場が外される時に1本の鉄パイプがワイヤを擦り抜けて数十メートルを落下、地面に届く前に足場に当たり、 はずみで6メートルの道路を横切り、向かいの娘の部屋の窓ガラスを突き破った鉄パイプは 一旦娘達のベッドに突き刺ささった後、床に転がりました。足場の解体時に工事用の防止壁布を 取り除き、クレーンでつり下げる時に起きた事故だと解りました。
 
幸い2人の娘は別々に海外旅行中で事なきを得ましたが、事故から2週間後、 先に帰って来た長女が部屋に入ったときに、未だ事故の起きた、そのままの状態で、飛び込んだ 鉄パイプと部屋中に飛び散ったガラスの破片を見て驚嘆しました。その惨状を目にしたとき、 『私達がもしベッドに寝ていたら即死だったに違いない』身体に鉄パイプが突き刺さった状態を 想像し、精神的なショックを受けました。朝早い事故で、普段未だベッドにいる時間を思うと強い恐怖 を起こし、それ以来PTSD・心的外傷後ストレス障害を発症しました。
 
 工事現場の責任者との折衝やマンションの契約解消にともなって起こる、電気や水道やガス、新聞と 事後処理を気を張って終えましたが、その間も頻繁に心的な後遺症が起こりました。昼夜を問わず、そのことを 想像して涙が止まらないようでした。 突然気持ちが高ぶり、いらいらが続き、不眠になりました。遠くからそれと判る他の工事現場を みると胸が悪くなり、動悸が始まります。絶えず不安と恐怖を感じて、工事現場は大小を問わず、そばを通ることが 出来ず、胃腸障害を起こし、激しい頭痛がひっきりなしに起こりました。工事現場責任者が部屋の惨状を 2週間も放って置いたことが許せず、それが又自分を傷つける悪循環で、いつも頭から離れない状態が続きました。
 

 海を望むホテルの一室で1ヶ月近くを過ごし、少しずつ落ち着いたようにも見えましたが、 気持ちの高ぶりは自分で押さえることが難しく、突然不機嫌になったりしました。事故の示談が 始まって、それが解決したときも、工事会社関係の方と顔を合わすことで、当日の思い出が よみがえり、まともに目を合わすことも、問いかけても返事も出来ず、挨拶も一切出来ない状態でした。 後で、『人をこれ程苦しめておいて、よく世間話など出来るの?』とも腹立たしく言いました。
 

 心療内科の先生の優れたご指導のお陰で心を開き、アロマテラピーで心身を癒しました。頭痛が起こると オルゴール療法で痛みを取りました。家族が交代でそばに付き不安を起こさないよう 気をつけました。何の気ない言葉が工事に連想され、家族の苦労は並大抵ではありませんでした。 3ヵ月を過ぎる頃に海に面したマンションの部屋を借りて引っ越して行き、やっと独り住まいが出来るようになりました。
 

 家族がそばにいたことや信頼できる医師や療法に恵まれました。可愛がっていた猫がいたことも 幸いでした。家族で申し合わせて出来るだけ明るい話題にして、本人がいやがる言葉を極力避ける ように気を遣いました。そして5ヵ月が過ぎて、漸く笑顔が戻っています。声にも力が出てきました。
 

 事故の惨状を見て、自分たちがここにいたらと思うだけでこれほどのPTSD・心的外傷後ストレス障害 を引き起こしています。地震などの自然災害や学校での殺傷事件や列車事故など、もっとひどいPTSD・ 心的外傷後ストレス障害の後遺症に苦しまれている方達のことを思い、ご本人やご家族の気持ちが良く解ります。 娘の場合はまだ軽い症状で助かりましたが、適切な処置が早い時期に取れたことも幸いしました」 2005/11/14
 
PTSD・心的外傷後ストレス障害へコメント
 この症例でも分かりますが、急激なストレスから起こった自律神経失調を引き起こし、心身を正常に することにかなり時間を要しています。先ず自律神経を正常にし、その一方で、後遺症から脱却する手法を 手に入れることです。抵抗力が付くまでに、かなりの期間、継続療法が必要でしょう。

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