おもちゃから生音がなくなっています。音楽はCDで、テレビで、スマホもゲームもデジタル音の音楽になりました。クリスマスのぴかぴかもん、自動で走る車、そして、デジタル音が一般的になりました。
生の音でなければ、脳は育てられない、感性は育たないことが、忘れられて来ました。音楽は氾濫していますが、大切な生音が、いつのまにかなくなっています。日本は、戦後からオルゴールを作っていて、おもちゃにも生の音が入っていて、どこのご家庭でも、生の音楽のおもちゃが普通に聞けたのです。
その生の美しい音がデジタルになりました。それは脳が育たない、情緒、感性が育たない、と言われています。
音楽人はご自分の演奏に邁進される傍らで、子供たちの音楽教育に、もっと力をいれなければなりません。美しさを感じる感性教育は胎教から、思いやりや、親切心や、感謝や、日本人独特の性質が失われています。
美しさを感じる脳の育成は、教育にも大きな影響を及ぼしています。世界的な数学の権威の岡清博士は、「美しいと感じるときのみ情緒が育つ、〇✕式の、記憶だけの教育では二十歳が限界」と説かれました。音楽を聴いて算数、音楽を聴いて国語、理科社会と感性の器をつくることを推奨されました。情緒はなんぴとも犯しえない器、これなしには教育はありえないと説かれました。
教育の根幹に情緒の器つくりの大切さを、そして現代の教育の根源にこの器がないことを嘆かれました。日本が最も大切にした和楽器による感性の伝承です。音楽と感性を和楽器を通して培った日本の伝統音楽を失い、今生の音楽を自動演奏するオルゴールのおもちゃを失い、デジタル音に傾倒していることが、胎教から3歳まで、そしてリズム感の14歳、右脳左脳の18歳までの生育に、胎教から20歳までの節目ふしめの教育に「生の美しい音楽」を失いつつあります。取り戻すきっかけをつくらなくてはなりません。生の音楽のおもちゃを見直しましょう。美しいスイスのオルゴールを聴きましょう! 佐伯吉捷