「13才の夏に右の手首にけがをして親指と人差し指と中指の3本の神経が切れ、手首の腱も切れていました。手術をしましたが、指は曲がらず動かそうとしても動かず、手はだらんと垂れた状態でした。もう0.1ミリずれて動脈が切れていたら命も危なかったと云われました。
学校に通い始めて、体育の時間も休み、女の子で針も持てない状態で落ち込みました。中学一年生で、自分は違う世界の人間になったと思いました。体育は好きで、スポーツ万能でしたから、よけいにショックでした。右手を失ったと思った時から、人との付き合いが変わりました。
二十歳までの気持ちは人に言えないくらいのプレッシャーでした。あきらめようとしても人生を変えようとしても、明るい生活をしようと努力しても、そんな気分になかなかなれませんでした。友人と食事をしていても右手をいつも隠すようにします。
コーヒーカップが持てず食事が美味しくありません。うどんを上手に食べられないのです。それでも不自由でいい、もう手は戻って来ないのだからと自分に言い聞かせ、出来るだけ気にしないように努めました。
九州では、手術が出来ないと思い、関西で手術を受けたときは、全くの失敗でした。別の病院で2回目の手術をすることになりました。
1回目の手術が失敗したことから心配で、先生に相談した時、先生に『信用しなさい』ときつく叱られ悲しい思いをしました。しかし、2回目も神経の繋ぎ間違いがあり、先生から謝って頂きましたが、元に戻す手術は受けられませんでした。
手術して、かなり経ってから、人差し指と親指の感覚が逆になっているのが判ったのです。それからは、以前にも増して気が短くなり、怒りっぽくなりました。
人差し指と親指は不思議なことですが、ずっと後で、感覚が正常に戻りました。お見合いのときも、手を隠していまして、後で良心が咎めて縁談をお断りしたほどに、人生にも大きな障害となりました。
娘がホームページを見てオルゴール療法のあることを知りました。手の方はあきらめていまして、水のたまる膝関節が治れば良いと思って参加しました。
オルゴール療法の4回目が終わって夕方、突然不思議なことが起こりました。親指と人差し指が開くのに気が付いたのです。今まで指がつっぱっていて、人差し指が曲がっていたのに真っ直ぐに伸びているのです。すぐに2人の娘に見せました。拡がる手を見てどうしようかと思いました。世界が変わってしまうことにおおきな動揺を覚えました。
すぐに母にも電話をしたのです。車のハンドルを握るのに親指と人差し指が大きく開いたのです。子供の頃に手を失ってしまったと思い、どんなに慰められても、もっと苦しんでいる人がいるのだからと云われても、あの頃は地獄に感じられました。
今のこの嬉しい気持ちをどう表現したらいいのでしょう?33年間で、こんなに美しい景色を見たことがありません。今日のオルゴール療法は、いつもと違うほどに、オルゴールの響きが身体の隅々にまで入って来て、身体が芯から熱くなりました。オルゴールの響きをとても有り難く感じました」 2004/2/1
「療法に参加して10回目です。手の平が真っ赤になっています。血液の循環が良くなったせいでしょうか?今までこんなに手が熱くなったことはありません。親指と人差し指の開きが90度に開くようになり、少しですが力が入るようになりました。
手術をした手首の突っ張りが感じられなくなり、普通になっています。家族で驚いています。今日の療法が終わって気が付きました。人差し指が左右に動き始めたのです」 2004/2/6
「拡がった手に少しずつですが力で出るようになり、親指がさらに拡がって来ました。手首が突っ張っていたのに緊張がなくなりました。ひとさし指の第一関節が伸びて力が入るようになっています。
いつも療法のあとでは手が温かく汗ばむほどです。手先に力が加わるようになってから、最近、家事をするときに気を使わずに右手がスッと前に出るのです。右手は使えないと長く思っていた、その右手が難なく前に出ます。日常生活に手が不自由なく使えるようになりました。」 2004/8/6 40歳代女性 T.F.